仏教に「空(くう)」という概念があります。

般若心経にある「色即是空」の「空」です。

空の概念は「固定した実体などない」ということです。

すべてのものは関係性の中にあり、絶えず変化し続けている。

変わらないように見えるものも、実は今この瞬間も少しずつ動いている。

会社も、組織も、同じだと思います。

「うちの会社はこういうものだ」「この業界はこう動く」「うちのやり方はこれだ」

そういう言葉は、経営の現場でよく聞きます。

一方、空の考え方から見ると、そのどれもが「今この瞬間の縁の集まり」にすぎない。

昨日と同じように見えて、会社はもう昨日の会社ではない。

だとすれば、変化は怖いものではないかもしれません。

むしろ、変化は当たり前の状態です。

変わらないことのほうが、自然に逆らっている。

そう考えると、新しい人が入ってくること、市場が動くこと、これまでの常識が通じなくなること

それらを「問題」ではなく「流れ」として受け取れるようになる気がします。

「時間は未来から流れてくる」という言葉があります。

過去の積み重ねが今をつくっているのではなく、来たるべき未来が今を引き寄せている

そういう感覚です。

変化を大いに受け入れるとは、その流れに乗ることではないかと思います。

抗うのではなく、身を委ねながら、自分たちらしい形を見つけていく。

空の思想は、二千年以上前のものです。

それがいま、経営の現場でじわじわと効いてくる言葉に思えるのは、私だけではないかもしれません。