所長通信 R8.7 空と会社経営
仏教に「空(くう)」という概念があります。
般若心経にある「色即是空」の「空」です。
空の概念は「固定した実体などない」ということです。
すべてのものは関係性の中にあり、絶えず変化し続けている。
変わらないように見えるものも、実は今この瞬間も少しずつ動いている。
会社も、組織も、同じだと思います。
「うちの会社はこういうものだ」「この業界はこう動く」「うちのやり方はこれだ」
そういう言葉は、経営の現場でよく聞きます。
一方、空の考え方から見ると、そのどれもが「今この瞬間の縁の集まり」にすぎない。
昨日と同じように見えて、会社はもう昨日の会社ではない。
だとすれば、変化は怖いものではないかもしれません。
むしろ、変化は当たり前の状態です。
変わらないことのほうが、自然に逆らっている。
そう考えると、新しい人が入ってくること、市場が動くこと、これまでの常識が通じなくなること
それらを「問題」ではなく「流れ」として受け取れるようになる気がします。
「時間は未来から流れてくる」という言葉があります。
過去の積み重ねが今をつくっているのではなく、来たるべき未来が今を引き寄せている
そういう感覚です。
変化を大いに受け入れるとは、その流れに乗ることではないかと思います。
抗うのではなく、身を委ねながら、自分たちらしい形を見つけていく。
空の思想は、二千年以上前のものです。
それがいま、経営の現場でじわじわと効いてくる言葉に思えるのは、私だけではないかもしれません。